紋章

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紋章

ここはプラネシティ・セントラル駅、通称P.C.C駅。 地球の居住区と宇宙にあるスペースランド居住区を結ぶ中間地点、空に浮かぶ駅である。 上に昇れば大気圏を越し宇宙へ、下に降りれば地上。 下へ降りるこの列車は大きな螺旋型に降りていく形で光る電子線路が引かれ、途中でいくつかの空中都市にも停車するが、終点地上のアース・セントラル駅(通称E.C駅)へと向かう目的に作られている。 このP.C.C駅構内は大きなショッピングモールになっており、カフェから本屋、服屋まで色々なものが販売されている。 そして気圧の低さに対応した透明の特殊シールドを張り、駅内は地上と同様に行動出来るように気圧等設計されている。 さて、そのホームで1人の柔らかい茶髪の女性が低めのヒールを鳴らし列車へと乗り込もうとしていた。 左手には四角い革製のトランク、コートにブーツ、ベレー帽を被った女学生のような服装だ。 先程までコツコツとリズミカルに音を鳴らせていたのに、今は何だか覚束ない足元に不安げな表情である。 「何かお困りですか?」 列車のドア前で乗客を案内していた駅員が見兼ねて声を掛けた。 「はい。A077へ行きたいのですが、この列車で合っていますか。」 淡いオレンジの瞳が揺れている。 「地上行きですね。失礼、iDを拝見しても?」 「はい、どうぞ。」 女学生と思わしき彼女は駅員に左手首のブレスレットを腕に付けたまま見せる。 フィンと小さな電子音が鳴るとブレスの上に浮くようにバーコードが現れた。 駅員は首から下げた専用のパネルを操作し、表示されたバーコードを読み取る。 「合っていますよ、3号車はここから4つ目のドアの先です。7日間この急行列車で、E.C駅で乗り換えですね、学生の1人旅ですか?何かお困りの際は駅員に気軽にお声がけくださいね。」 学生証と思わしき情報も表示されていた為、少し心配してくれる優しき駅員。 「ありがとうございます。」 そんな彼に心からお礼を言うと、トランクを持ち列車へ乗り込む。 彼は照れ屋なのか帽子の縁を触る仕草をすると、はにかんで一言。 「それでは、よい旅を!」
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