LINE休み

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 店の閉店は深夜の12時だったが、その日は数人の常連客が中々帰ろうとせず、Nさんは頭を抱えていた。厨房の清掃は終わっているため、他のスタッフは先に帰らせていた。最後の客のテーブルにある食器は、水に浸けておいて明日洗おうと思っていた。  12時半を回った時にようやく客が帰ると、Nさんはくたびれた体に鞭を打ち、テーブルの後片付けを開始した。BGMが止められ静まり返った店内で、F子のLINEを思い出して身震いしていた。「母親のイタズラだ」と自分に言い聞かせたが、考えれば考えるほどに恐怖が増長していった。  帰り支度を済ませると、店の電気を消した。店の入口から一番奥にあるスタッフルームにスイッチがあるため、真っ暗になったホールを横切らなければいけなかった。 「やべえ・・・・・・怖い」いつも当たり前のようにやっている手順なのに、その日は恐怖に襲われていた。スマホのライトを点けて懐中電灯代わりにした。真っ暗な店内の一部が青白い光で照らされた。  スマホを胸の前に掲げながら慎重に通路を歩いていると、LINEの着信音が鳴った。Nさんはアプリを開かなくても画面にメッセージが通知されるように設定していた。 「遅れてすみません。今到着しました」
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