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階段で派手に転んだところを見られたという恥ずかしさが先に立って、なかなか顔を上げられない。
「怪我は? 頭は打ってない?」
それなのに声の主はわたしの前に膝を曲げて覗きこんでくる。
心配そうな顔は見覚えがあるような気もするけれど、名前までは思い出せない。
睫毛が濃くて少しタレ目。鼻筋は通っていて、口許は締まっている。キリリとしたイケメン君だった。和服の似合いそうな和風イケメン。
イケメン君に助け起こされる前に、
「大丈夫、です」
わたしは根性を総動員して立ち上がった。
そして何事もなかったように窓口に戻り、
「お待たせいたしました」
と笑顔を作ることに成功したのである。
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