月曜日の午前

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月曜日の午前

「海斗、早くして! 保育園に遅れるよ! 美咲、忘れものない?」 月曜日の朝は一週間の中で最も忙しい。ここを乗り切れば、またいつもの日常がやってくる。 「ママ、給食エプロンは?」 え、美咲サン今それ言う? 今週はいらないのかと思ってアイロンしてないよ。大急ぎでアイロン……時間がない。必殺手アイロン! 膝の上でしっかり皺を伸ばしてきれいに畳めばいける! 「海斗、いつまで食べてるの。早く顔洗ってトイレ行って靴を履く!」 DVDは帰ってきてから! 長女の美咲は小学校二年生。長男海斗は保育園二年目。 そしてこの春、夫は単身赴任となった。 わたしは公務員。育児休業復帰後はフルタイムで勤務している。 ボロアパートの二階からマイホームを夢見て頑張っているところだ。 保育園に持っていくお昼寝布団の袋を肩に提げ、海斗を抱えてアパートの階段を降りる。 軽自動車の狭い空間に二人と荷物を押し込んで出発だ。 今週も戦いが始まる。 雨降りのせいで道が混んでいる。 赤信号で停止すると、横断歩道をゆっくりゆっくりと渡るお年寄り。 わたしは基本せっかちだ。信号が青になると同時にスタートダッシュを切りたい派だ。     
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