三人の男

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 2018年12月21日 金曜日 22時  都内の喧騒から外れた、とある高級マンションの一室。  津田(つだ)佑馬(ゆうま)はいつもの部屋に合鍵で入る。  明るい。  珍しく竜嗣が先に居た。  といっても竜嗣も今しがた着いたようで部屋はまだ薄ら寒い。  高級なスリーピーススーツのジャケットを脱ぎ、ベスト姿でワイングラスを用意している竜嗣。  その背中からは(とど)めきれない色気が漂っている。  本当にいつ見ても思わず見惚れてしまう。  佑馬は悔しさで軽く溜息をつく。  竜嗣はセルフマネージメントに秀でている。  スーツ選び一つとっても然りだ。  何を着てもそれなりに着こなしてしまうのだが、自分が一番セクシーに見えるラインを分かっている。  佑馬は以前、興味本位で竜嗣のスーツのブランドをチェックしたことがあった。  チェザーレ アットリーニにチフォネリ。  男の色気を強調するのが魅力なブランドだと、竜嗣が身に着けると良く分かる。  並みの日本人なら着られてお終いだろう。
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