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 隼人は、沙耶が自分を尾けていることに気付いていた。単なる好奇心で、放置した。退屈な日常に飽きていた隼人にとって、沙耶の存在は刺激だった。  どうして、体育館の放送室の鍵が開いていることを沙耶が不思議に思わないのか、隼人は愉快だった。練習の見学の輪に入れない沙耶への、隼人からの助け舟だった。  火事の日も、沙耶が隼人を尾行し終わってから、隼人は沙耶を尾けたのだ。卒業式だったから。最後に沙耶と同じことをしてみたかった。Twitterを始めたことは、意識して大きめの声で話した。卒業をしてからも、沙耶が隼人を追いかけるとは限らないから。  尾けて良かった。彼女を救えたから。   「あのう」  沙耶はおずおずと聞いた。その声に、隼人はぼんやりしていた自分に気付いた。ーー少し、昔を思い出していた。 「もしかして、はや、藤崎君、は、私のことが、その、好き。なんでしょうか?」  隼人はポカンとする。その表情も整っていて、沙耶は見とれた。     
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