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 隼人は沙耶の言葉を繰り返した。好き? 何言ってるんだろ、コイツ。お前は俺を尾けて、盗撮して、俺だってお前のストーキングを分かっていながら放置した。最近お前が俺のところに来ないから、俺がお前のアパートに行っていたんだ、なあ、気持ち悪いだろう? 今日だって、冗談みたいに、予定を書いた俺のツイートを見て、ノコノコ来たんだろう? なあ。  こんな関係を、お前は。 「ーー好き」  隼人は小さく、口の動きだけで呟いた。そんな綺麗な言葉で、この関係を表すのか。お前は。  こうやって、お互いに向き合って、話すのは初めてだけれど、最初に見たときの通り。  思った通り。 (俺と同じで、それなりに、狂ってる)  隼人は分かっていた。こうやって、沙耶の向かいに座ったのは、大学を出て目の前にあるカフェのテラス席に、うたた寝をする彼女を見つけた時、嬉しかったからだ。  彼女が会いに来てくれて、嬉しかったからだ。  本当は、分かっていた。  目の前にいる、誰の印象にも大して残らないであろう、地味な女を。自分を尾ける異常な女を。  いつからか、                        了  
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