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沙耶は、グレーのチェックのスカートを履いている。
見覚えがある。高校生の時の制服だ。
沙耶はふと、ここが夢の中だと気づく。
沙耶は高校生ではなく、少々引きこもり気味の国立大の学生である。高校卒業後は、制服や使っていた筆記具なども処分したのだ。
つまり、高校の制服を当然の様に来ているこの状況は、夢である。
沙耶には時々、夢の中で自分自身がこれは夢だとわかるときがあった。
「しろい」
ここは、真っ白だった。上も下も、右も左もわからなくなるほど、まっしろ。
「誰かいませんかあ」
沙耶は叫んでみる。なんてね、ベロを出したい気分だ。
もしかして、と思い、沙耶は自分の髪の毛を触ってみる。夢だから感触はないはずだが、高校の頃のロングヘアに戻っていることに気付いた。
「へんなの」
こんなカッコ、嫌な感じだ。
幽霊みたい、高校生のとき、クラスメイトにそう陰口を言われてことが嫌で、母親に言われるまま伸ばし続けていた髪を、大学進学後、一人暮らしを始めたのを機に肩まで切ったのだ。
髪を切って、気持ちも軽くなった。
髪型をとやかくいう母親はもういない。
「あ」
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