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スマートフォンのアラームがなっている。
朝だ。
沙耶は心底安心して、アラームを止めた。
見渡しても、どこもおかしくはない。いつもの自分の部屋だった。
ふうと息を吐いた。怖い夢を見た気がするが、思い出せない。
沙耶は最近、いつもそうだった。
夢の内容を覚えてない。
完璧に覚えている人もいないだろうが、これ程覚えてない人もあまりいないのではと沙耶は思う。
怖い思いをした、という気はするのだが。
顔を洗いに行こうと起き上がると、かけたままのワンピースが目に入る。
そうだった。今日は彼に会いに行くのだった。沙耶は思う。
スマートフォンの写真データを開く。途端に、膨大な記録が溢れた。
高校一年の時の同級生。
バスケ部のエースで、いわゆる顔も整ったイケメン。
クラスでも中心人物だった。
ふじさき、はやとくん。
私の私の、ステキな追跡対象。
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