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それから、隼人は沙耶の追跡対象になった。
快晴。白い雲と青空。
絶好の追跡日和だ。
「サイッコーですねぇ」
沙耶はご機嫌でつぶやいた。
今日のための秋色ワンピース、実は靴も新調したローヒールのパンプスだ。
電車に乗って、バスに乗り換え、やっと隼人の通う大学まで来た。
普段プライベートは引きこもりの沙耶にとっては、それだけで非日常の大冒険というものだ。
一緒の大学に通うことは叶わなかったが、沙耶は隼人と同じ県内の大学に通っている。これまでも彼の追跡に行こうと思えば来れたが、大学に進学し、新生活とやらを体験する中で、沙耶の中のその衝動は薄れていた。
追跡行為をするのは大学に入って初めてだ。
久々にその衝動があったのが、この、ワンピースを見つけた時だった。
オシャレして、会いたい。
その対象が隼人だということ。
これを。
恋と呼ばずして、何が恋なのか。
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