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「冗談だよ」
隼人は笑う。あの笑顔で。
「ごめん、ごめん。でも、放火なんて、いくらなんでもするわけないだろう? そりゃあお前の母親は何度も殺してやれたら、とは思っていたよ。お前に酷いことしていたものな」
隼人は沙耶の顔を覗き込みながら、「今の髪型似合ってる」と嬉しそうに言った。
「な、なんで、お母さんとのこと、知ってるんですか?」
「ーー知ってるよ。書いてただろ。たくさん」
「か、かいてた?」
「ネットに」
途端にカッと、頬が熱くなった。SNSに投稿していたのは、何も隼人だけではない。沙耶もまた、Twitterを利用していたのだ。
「どうして私のだってわかったんですか!?」
「お前だって、今日、俺のつぶやき見て来たんだろ? 同じだよ」
沙耶は黙った。これはどういう状況なのだ。
「最初の質問に答えてなかったな」
隼人は許可なく沙耶の飲みかけた紅茶を口にする。楽しそうに口元を歪ませた。
「どうして、火事の時、お前の家にいたのか」
隼人は紅茶のカップを置き、沙耶を見据えた。そして笑う。
「お前と同じ、俺もずっとお前を見てたから」
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