酔生夢死

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間ノ宮に呼びだしをされた素澤が慌てる様子もなく向かうと、椅子に座るよう言われた。  ソファにどかっと座ると、新しいガムを口の中へと入れて噛み始める。  「実は、サラムを抹殺ではなく、生け捕りする方向になった」  「生け捕り?なんでです?殺しゃ簡単じゃないですか」  「ザーク様がサラムのことを知って、捕えるようにと言ってきた。最終的に殺されることになるとしても、一応、形式的には生け捕り優先だ」  「へいへい。こういう時に面倒な奴ですね、相変わらず。あの口塞ぐ方法ないですか」  「そう言うな。形式的に、と言ったはずだ」  「わかりましたよ。形式的にね。ほんっと、そういうところ頭が下がりますよ」  その時、間ノ宮の携帯が鳴る。  素澤に画面の名前を見せると、納得したように「どうぞ」と電話に出ることを許可した。  「遠野か。どうした」  《間ノ宮さん、御無沙汰しております。実は、最近俺の商売の邪魔をしている奴らがいましてね。摘発していただけないかと。いつも通り、情報はお渡ししますよ》  「ああ、構わない。場所も特定出来てるんだろう?」  《ええ勿論。商売敵を捕まえてくださって、本当に助かっております》  「そういえば遠野、サラムという男を知っているか?」  《サラム、ですか?さあ?どういう男なんです?》  間ノ宮は、遠野にサラムのことを説明した。  すると、それを聞いた遠野はとても嬉しそうに声のトーンを上げる。  《それはそれは。きっとマリアで聞いた噂の男のことですね》  「なんだ、知っていたのか」  《知っていたというほどでは。ただ、話の流れでちょっとだけ聞いただけですので、そういう事情のある男だとは露知らず。良いことを教えていただきました》  「生贄の仔羊、というところか」  《お客様のためです。決して、私利私欲のためではありませんよ》  電話の向こう側で笑っているのがわかる。  そんな二人の会話をじっと聞いていた素澤は、何かを思い出したように間ノ宮に電話をよこすよう手を出した。  何か大事な用事でもあるのかと、間ノ宮はちょっと替わると言って、携帯を素澤に渡した。  「おいドクロ」  《素澤さんじゃありませんか。相変わらず能天気なお声でいらっしゃいますね》
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