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「うるせぇよ。あのよ、最近部下から頼まれたんだけどよ、お前、男も用意出来んのか?」
《男ですか?まあ、出来ないことはありませんが。素澤さんはそちらの御趣味でございましたか》
「俺じゃねえ。男色の野郎もいるんだよ。で、女ばっかりで相手出来ねえから、男が欲しいって言うんだよ。もちろん経費でな。すぐ用意出来るか?」
「おい、経費が落とせないぞ」
「え、何で」
「当たり前だろ」
《すぐにですか・・・。そうですねぇ、来週あたりにはご用意したいですね。ご要望があればどういった子が良いか承りますが》
「知らねえ。野郎どもの趣味なんて俺には興味ねえんだよ。なんでもいい。適当で良いから連れてこい。そんでもって少しまけてくれ」
《かしこまりました。御贔屓にさせてもらっていることですし、お安くしてきます》
「サンキュ」
そう言うと、素澤はまるで投げ捨てるように携帯を間ノ宮に渡す。
そしてすぐにイヤホンをつけると、また聞いていない競馬中継を聞く。
電話を返された間ノ宮は、素澤の様子を目を細めてみた後、また切っていない電話の向こうに話かける。
「ということらしい。頼んだぞ」
《もちろんです。楽しみに待っていてくださいとお伝えください》
「ああ」
電話を切ると、間ノ宮のもとに、また別の男からの電話が鳴った。
「なんだ」
「え?サラムがなんで狙われてるのか知ってるのか?」
「ああ、知ってる」
サラムと大我を小さな小屋に連れ込んだ定室たちは、自分たちがサラムのことを知っていると話しだした。
もちろん、その言葉にサラムはとても不機嫌そうな顔をしたものの、どうして狙われているか教えるくらいはいいだろうと宥められてしまった。
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