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将烈のトレードマークとも言える黒のシャツはボロボロになっており、仕事中につけている白い手袋がやけに綺麗に見える。
上半身を始め、下半身からも顔からも血が出ており、擦り傷は痛々しいほど赤い。
この日の将烈の拷問を引きうけていた素澤の方が疲れてしまうほど、その身体には生々しい傷が多々ある。
どれほどの時間拷問を受けていたのか分からないが、時間が経っている傷痕は紫色に変色している。
だが、これは決して、将烈から何かを聞き出す為に行っている拷問ではなく、ただただ、将烈への日頃の恨みを晴らす為だけの行為と言える。
「お前もよお、あいつに恨まれるなんて大した奴だな。なにやらかしたんだ?」
「・・・知るか」
「だよな。ま、俺はお前に直接的な恨みは何もねぇが、最悪殺しちまっても良いって言われてるからよ。悪く思うなよ」
片耳にイヤホンをつけてガムを噛みながら、素澤は将烈の身体に傷と痣をつけていく。
素澤がそんなことをしている間、間ノ宮は波幸に仕事を頼んでいた。
「さすが、優秀だな」
「滅相もありません」
「そこで頼みたい事がある。まあ、お前の実力からすればそんなに難しいことじゃないだろう」
「何でしょう」
すると、間ノ宮は波幸に金を渡して、さらにこう続ける。
「これからザークのところに行って、交渉役をしてほしい」
「交渉、ですか?私なんかでよろしいのでしょうか」
「お前だから任せられるんだ。そんなに優秀なのに、よくあんな男の下で働き続けられたもんだな」
「ええ。長いことあの方のもとに勤めていましたが、ようやく抜け出せてホッとしています。それに、給料も安いですし」
「ハハハ。なら、早速今から向かってくれ。先方にはもう話をしてある。お前なら大歓迎だろう」
「ありがとうございます」
間ノ宮にそう頼まれた波幸は、早速ザークのもとへと向かうと、間ノ宮から引き継いだ仕事の話を進める。
ザークは今とても欲しいものがあるらしく、何が何でも手にしたいということで、様々な場所に手を回してほしいというものだった。
間ノ宮もザークも顔が広いのだが、それでもなかなか手に入らないレア物らしく、波幸にはもっとコネを作ってほしいということだった。
了承すると、ザークは波幸に大金を手渡し、もしそれを手にすることが出来たら、さらにボーナスとして欲しい物をなんでもやると言われた。
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