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手にしたことのないような厚みにある紙幣に、波幸は顔をほころばせる。
「こんなに戴けるんですか!」
「もちろんだとも!!何しろ、君はこれから私の手足となって働いてくれる、優秀な駒なのだからね」
「私も精一杯やらせていただきます」
波幸がザークと交渉をしている頃、間ノ宮は素澤のところに行っていた。
目の前に意識を失いそうな将烈がいるにもかかわらず、そんなもの見えていないかのように一瞥もくべること無く、素澤の隣に向かった。
「どうだ」
「どうだって、見ての通りですよ。まだ死んでません」
「殺しても良いと言っただろ」
「そう簡単に言いますけどね。一応、拷問っていう形なんでね。銃使えば一発で殺せますけど、さすがに銃を使った拷問なんて、今度はこっちが悪者になっちまいますよ」
「俺と話す時くらい、イヤホンを外してガムを捨てたらどうだ」
「いいじゃないですか。いつものことなんだし。それより、交渉は上手くいきそうなんですか?あいつ、裏切ったりしません?」
ここでようやく、間ノ宮は将烈を見る。
血だらけの将烈を見て、間ノ宮は心配するどころか微かに微笑む。
仕事をしている時にはほとんど見ることのないその笑みに、素澤は口を動かしながら顔を背ける。
「大丈夫だ。どれだけの正義を持っていようとも、所詮ただの組織の人間だ。金さえ握らせればこっちのものだ。案の定、もうあいつは闇に堕ちてる。心配することはない」
「あいつにはもう一人部下がいたんでしょ?そいつは?」
「そっちも問題無い。少し前にこいつとやり合ったみたいだし、今は何処にいるかは分からないが、何処か別の部署に異動願いを出したとも聞いてる」
「そーなんですか。じゃあまあ、こいつはもう頼るところがないってことでいいんですよね?」
「ああ・・・」
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