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この戦況において、武器も権力もある最も厄介な男。
一気に清涼のもとに近づくと、手元を狙って銃を弾き飛ばし、そのまま清涼の後ろに回り込んで床に押さえつけた。
「くっ・・・!!」
「お遊びはここまでだ」
背中にどかっと座られてしまったため、清涼は全く動けなくなってしまった。
腕も背中側で拘束されてしまっているため、抵抗することもままならない。
素澤はくちゃくちゃとガムを噛みながら髪の毛をかき、それまで持っていた長距離用のライフルから、腰に収めていた黒田達と同じ形の銃に持ちかえる。
そしてそれを清涼の頭に突きつける。
「銃を下ろせ。んでもってその銀髪野郎をこっちに寄こしな。じゃなけりゃあ、こいつを殺す」
素澤の言葉に、定室と黒田は互いの顔を見合わせると、二人同時にこう言った。
「「断る」」
「・・・そうか。それは残念だ」
サラムを引き渡すことを断ると、素澤は銃を発射出来るようにすると、銃口を清涼の太ももに向けて撃つ。
「っ・・・!!」
「清涼!!」
「てめっ!!」
清涼の足からは赤いものが流れ出てきて、あっという間に赤い水溜まりを作る。
撃った張本人は表情ひとつ変えずに、確かに銃弾が入っていて、撃つ意思があるということを見せた上で、再び銃口を清涼の頭につける。
「舐められたもんだな。俺がそんなに優しい男に見えるのか?まあ、優しいっちゃ優しいけどな」
本気なのか冗談なのか、素澤の声からはどちらとも言い切れない。
「舐め腐ってんじゃねえぞ。こいつの脳味噌ブチまけたくなかったら、そいつよこせって言ってんだよ」
「・・・・・・」
黒田が銃を下ろそうとしたとき、定室が黒田の前に立つ。
「おい」
「仕方ねぇだろ。あいつら頼んだぞ」
その様子をじっと見ている素澤は、ぷう、とガムを膨らませると、パンッ、と弾いてまた噛み続ける。
定室は自分の腰あたりを触って、あとどのくらい弾が残っているかを確認すると、自分の後ろにいるサラムたちに向かって叫ぶ。
「早く行け!!」
定室の声が響き渡ると、黒田はサラムたちの方に一気に走りだし、奥にあるという隠し扉まで向かった。
男たちがサラムたちを追いかけようとするが、定室が立ちはだかる。
黒田が追手が来るかを確認しながら走っている間にも、後ろからはパンパンと激しい銃声が聞こえてくる。
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