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清涼の背中に乗っていた素澤が、ライフルに持ちかえて定室を撃つと、定室は意識を失ってしまった。
清涼の最中から下りると、素澤は清涼を撃った銃を腰に戻し、部下たちに言う。
「さっさと追え。お前等は入ってきた扉から裏に回れ」
「はっ」
サラムたちを追いかけていった部下たちを見届けたあと、素澤は携帯を取り出して電話をかける。
なぜか留守電になってしまったため、立て続けに何度も何度もかけ直すと、相手も諦めたのかようやく出る。
「おい炉端、すぐに出ろ」
《どうせ仕事の話かなーと思ったんですけどねぇ》
「仕事の話だからさっさと出ろ。今、あの男に逃げられた。逃げた先を調べろ。すぐにな。出来れば30秒以内に」
《無茶苦茶言うのは間ノ宮さんだけかと思ってましたけど、ここにもいましたね。それより、この前のおしるこの約束はどうなったんですか?まだ持ってきてないですよね?てめぇの約束を守る前にまた仕事の話なんて、人としてどうかと思うんですよね》
「一々五月蠅ェ奴だな。で?」
《もうちょっと》
電話の向こうでパソコンをいじる音が聞こえていたため、健が文句を言いながらも調べていたことを素澤は分かっていた。
急かしてはいるものの、ガムを噛んでいるその光景はいつも通りで、決して焦ってなどいないだろう。
素澤は電話をしたまま歩きだし教会を出ると、後ろを振り向く。
少しだけ顔をあげればそこにある綺麗なステンドグラスが、銃撃戦のせいで割れてしまっている。
地面に落ちている破片を踏みつけると、素澤は顔を戻してまた少し歩く。
向こうからの返事が来るのを待っていると、それからすぐに来た。
《出ましたよ。詳しい場所は・・・》
「ああ・・・わかった。今度激辛あんこ送るよ」
健の返事を聞く前に通話を切ると、素澤は健に教えられた場所に向かうため、部下たちを呼び寄せる。
結局逃げ切られてしまったらしく、部下達は素澤に何度も謝っていた。
「まあしょうがねえな。炉端には奴らの動きが止まったら連絡寄こすようにも言ってあるし、とにかく言われた方に行ってみるか」
そう言うと、素澤はイヤホンをつける。
素澤から謎の物を送ると言われた健は、その頃大きく首を捻っていた。
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