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顔を悲痛に歪めたサラムは、きっと産まれてから初めて知ったであろうその独特の痛みに、声を出さないようにするので必死だった。
ジャキ、と再び銃口をサラムに向けながら、素澤はもう一度同じことを聞く。
「照魔鏡は何処にある?」
「・・・・・・」
唇を噛みしめていたサラムは、一度目をゆっくりと閉じたかと思うと、何かを決心したかのようにまたゆっくりと目を開ける。
先程とは違う強い目つきに、素澤は何かを感じ取ったのか、銃を一旦下ろす。
「・・・・・た」
「あ?なんだって?」
何かを言ったサラムだが、その声は小さかったため、近くにいた素澤にも聞こえなかった。
ふう、と深い息を吐いてから、サラムはもう一度同じことを答える。
「燃えて、無くなった」
「・・・あ?」
サラムの回答が気に入らなかったのか、素澤は銃でサラムの側頭部を殴る。
「素澤、落ち着け」
「ああ、すんません。なんかふざけたこと言った気がしたんで、つい」
「サラム、詳しく話してもらおうか」
素澤に殴られたところがジンジンするが、サラムはそこを手で押さえることも出来ずにいた。
ただ間ノ宮や素澤たちの視線の方が恐ろしかった。
「・・・サブワロールという先祖がいた。その先祖は、それまでの白魔女とは異なった血を持った白魔女だった」
「?昔話で時間稼ぎか?」
「素澤」
「はいはい」
サラムの話し出した内容に、素澤は銃を向けるも間ノ宮に止められてしまったため、銃をまた下ろす。
それを確認してから、サラムはまた話す。
「その先祖は、白魔女の血を自分で終わらせようとしていた。だが、悪魔の使いによってそれは叶わなかった」
「悪魔の使い?」
「大蛇だ。先祖は純潔でありながら、大蛇の呪いによって子を身ごもった。先祖は大蛇の正体を掴もうと、封印されていた照魔鏡を掘り出した」
サブワロールは、自分が白魔女とはまた違った存在であることに勘付いていた。
そのサブワロールと同じような状況にあった白魔女がずっと昔にも一人いたようだが、彼女もまた、大蛇によって子を身ごもった。
通常よりもお腹が大きくなる速度も速く、また、大蛇にこんなことを言われたらしい。
お腹の子を殺そうとするなら、サブワロール自身、一生死ぬことが赦されず、子を棄てようものなら一生大蛇のものとなる。
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