3杯目 ポティロンとタネ

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「ーーだから朱莉さんが百合丘にいるって知って、私も絶対百合丘に行って、朱莉さんとテニスをしたいって思ったんです!」 キラキラとした目で訴えかける彼女は、どうやら本当に朱莉に憧れているらしい。 「ーーーーそっか、ありがとう」 どう返していいのかわからず、朱莉は照れ隠しのようにそっぽを向いて礼を告げた。 「私、もっと強くなります! 朱莉さんと一緒に戦える日まで!」 「うん、私も負けてられないね。頑張ろうね」 「はいっ!」 何を悩んでいたのだろう。 下級生が怖い? シングルスは怖い? こんなにも近くで応援してくれて、憧れていてくれる子がいるのに。 それも中学で同じように練習して切磋琢磨していた後輩が、ずっと秘めていたであろう胸の内をキラキラした目で訴えかけているのに。 どうしてウジウジと悩んでいたのだろうか。 うん、きっと大丈夫。 まだ強くならなければいけない。 自分自身のためにも。何よりーー可愛い後輩(ライバル)のためにも。 「ありがとうね、舞」 隣を歩く舞にポツリとつぶやくと、聞き取った舞がこてりと首を傾げて見つめていた。
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