3杯目 ポティロンとタネ

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以前訪れた時に試食したポティロン。 率直な感想が欲しいとの事だったから、思ったままを伝えたのだけれど、他のお客さんからも似たような感想をもらったのだと叔父さんから聞いたのはもう随分と前のことだ。 「クリームもさっぱりしていて、すごく食べやすいです!!」 「かぼちゃの種もこの前、初めて食べたんですけど案外食べれるものですね」 「おや……? 食べず嫌いでしたか?」 クスリと笑った有馬に、朱莉はこくりと頷いた。 「昔、かぼちゃの種には毒があるーーと聞いたことがあって」 「私も聞いたことある!」 「食用もあるとは知っていたんですけど、なかなか機会がなくて……だから今回ポティロンで食べれて良かったです」 「私たちもお嬢様の成長に携われて光栄です」 にこりと笑いながらティーポットから紅茶を注いだ有馬は、ぺこりと頭を下げて静かにバックヤードへと戻って行った。 「ーーやっぱり」 その後ろ姿を見送る朱莉がつぶやいた声は、小さなBGMと周りの談笑に紛れて、有馬に届くことなく消えていった。
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