1杯目 高台の喫茶店

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「あれ、雄大さん。仕事に戻ったんじゃないの?」 「まだ時間に余裕があるからね。駅まで送るよ」 「わっ、助かる!」 ぱぁ、と顔に花を咲かせて後部座席に乗り込む。近くのバス停まで走ろうかと思っていただけに、ありがたい申し出であった。 「──今日は会長もハルも帰りが遅くなる見込みだそうです。寛人(ひろと)くんは帰れそうなら連絡すると言っていたよ」 「寛人兄さんにも連絡いれたの?うん、わかった。父さんと陽仁(はると)兄さんに頑張ってって伝えて」 「承りました。朱莉ちゃんも何かあれば連絡してね」 駅前のロータリーで降ろしてもらい、雄大さんを見送った。 待ち合わせの十分前。丁度良い時間だ。わかりやすいように「ターミナル広場の時計の下で待っている」と友人へメールしてを送り、ふぅ、と一息ついた。
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