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「ほんと、バカはどこまで行ってもバカよね」
その絢音の姿を。屋上のドアの前で見ていた一人の少女。
門倉聡美は、心底スカっとした気持ちで――惨めな悪女の末路を見つめていた。
――すっげービビってたけど、ちょっと考えればすぐ分かるでしょ?あんたが帰るまで、学校の他の場所に残っていた生徒がいた可能性。あるいは、次の日の早朝に学校に来て、私の机の中からノートを出してアンタの机の中に入れた奴がいた可能性。そんなことも気づかないから、あんたはバカなのよ。
都築修也を狙っている女子は多い。この学校に似つかわしくない、頭がよくてスポーツ万能なイケメン。それでいてストイックな彼。聡美がこの美貌で何度もアプローチしても全然靡かなかった彼が、なんで絢音なんかを選んだのか疑問で仕方なかったのである。
あのブスで、性格が悪くて、人を見下してばかりのあんな女のどこがいいのか。――思い知らせてやらなければ気がすまない。どうにかあの二人を別れさせる方法がないものか。そう考えて思いついたのが――この、“アクマノート”だったのだ。
――呪いも、魔術も、神様だって必要ないわ。バカを陥れるには、真っ当な人間の力だけで充分なのよ。
そう。一冊の本。それだけあれば、何だってできる。
「はっ!ざっまあ~」
聡美は嘲りながら、その現場を後にした。絢音がフラレる現場をばっちり抑えたスマートフォンをスカートのポケットにしまいながら。
本当の悪魔は――だあれ?
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