第2章 パンドラの箱

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 僕の営業成績のグラフが上りエスカレーターのようになっていくと同時に鬱憤晴らしもエスカレートしていたのだ。  入社二年目。 「ほらほら、良立暮くん。キミはあの大学から出てるんだから地道な努力は得意でしょ?だったらこのくらいの仕事量は簡単だよねぇ」  律島は僕のデスクに大量の書類を乗せる、そのほとんどが律島がしなくてはいけない仕事だ。 「は、はい……」  律島がやたらと僕に不当な行為をしていることは周りの同期も気づいてはいたが、誰一人として僕を助けようとする者はいなかった。  「良立暮と関わったら律島部長に目をつけられるぞ」と同期は僕に当たり散らかす律島を嫌悪し、自分に被害の対象が移らないように僕に構うことも極力避けていた。  社内での究極的な孤立無援状態、今思うと律島はこれを狙っていたのかもしれない。  僕を孤立無援にし、心を折れば勝手に会社をやめるだろう、と考えていたのだ。  しかし、当時の僕は真面目で会社を辞めることなど眼中になく、ストレスだけが溜まっていた。  そして僕は会社からの帰り道、こんなことを口にした。 「学歴のせいでこんな目に合うんだったら僕はもう、学歴(こんなもの)は──いらない」
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