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僕は地上四十五階から華麗にダイブし、そしてその先にあったのは謎の温もりであった。
それはまるで幼いとき、父親に毛布をかけられて寝ていたときのあの安心感ようなもので、同時にもう戻ることのできない、不可逆的な切なさもあった。
すると誰かが僕の肩に手をかけ、強制的に僕の意識を覚醒させる。
「やぁ、おはよう。良立暮さん」
僕の肩に手をかけてそう言うのは白衣を着た青年だった。
青年は長身でスタイルが良く、鷹のように鋭い目元が印象的な俗に言う“イケメン”だ。
「あ、え?僕は飛び降りて……え?
「ってかここどこ!?」
辺たりは薬品の匂いが充満していて、かつ少し薄暗く物憂い雰囲気で、壁には新薬のポスターが貼ってあり、僕は横長の椅子に座っていた。
もしかして、病院?
「あぁ。病院だよ。病院と言っても精神科。『傷心病院』さ
「因みに僕はこの病院の医院長だよ」
精神科? 傷心病院?
「なんで僕がここに?」
「昨日の夜良立暮さんがゴミ袋の山の上で倒れてたから保護したんだよ
「死ぬつもりで地上四十五階から飛び降りて、その下には使い古した服やクッションが大量に入ったゴミ袋の山、ついてるんだかついてないんだか……」
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