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医院長はやれやれと首を振る。
「でも……この病院の医院長がなんで僕の名前を知っているんですか? 」
僕がそう医院長に問うと医院長は自身のポケットから僕の財布を取り出した。
「あなたの所持品のお財布の中身を確認させてもらったら保険証が入っていてね
「氏名、新城良立暮。年齢は二十六歳で無職ってところまでは分かったよ
「普通は保険証持ち歩くにしても、コピーしたものを持ち歩くって方がセオリーっていうか常識だと思うよ。今度から気を付けてね」
慈愛と無関心というなかなか相性の悪い性質が組み合わさったような笑みを浮かべながら「はい、どうぞ」と医院長は僕に財布を返却した。
飛び降りて僕が逝った後、せめて警察が身元確認で困らないようにと保険証を身分証明書として持っていたが、まさか見ず知らずの医院長に見られることになろうとは……。
「じゃあ、これで質問タイムは終了
「ここは精神科だからね。良立暮さんの精神鑑定をさせてもらうよ」
そんなに明るく精神鑑定の予告をする精神科なんて三千世界のどこを探してもここだけじゃないのか。
「僕は向こうの診察室で準備をしているから準備が終わったら呼ぶね」
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