プロローグ

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 あおいが死んだと分かった時、私は、世界からあらゆる色が失われていくような感覚を抱いた。そして次の瞬間には、全ての感情が消え失せ、私はまるで人形のようにその場に佇んでいることしかできなくなってしまった。  強い風が吹けばそのまま吹き飛ばされてしまうのではないかと思えるほどに、この身体は支えを失い、私は無様にも膝から崩れ落ちそうになる。それほどまでに、彼女の死は計り知れない傷を私に負わせたのだ。  それでも、私はまだ倒れるわけにはいかなかった。  なぜなら、心に傷を負ったのは私だけではなかったからだ。当然ながら、私よりも家族であるあずさの方が、心に負ったダメージは遥かに大きかったのだ。  たった一人の肉親が死んだと分かった瞬間のあずさの反応は筆舌に尽くしがたいものがあった。母親の代わりだった大切な姉を失ったのだからそれも当然だ。  彼女は喉が潰れんばかりに叫び、身体が枯れてしまうのではないかと思えるほどの大粒の涙を流した。  私自身もその時はボロボロで、今にも意識を失いそうなほどではあったが、そんなあずさを私は黙って見ていることはできなかった。  私程度に彼女の身体の震えを止めることができるとは思わない。私なんかに彼女の止めどなく溢れる哀しみを塞きとめることができるとは思わない。それでも、私は目の前の幼馴染を放っておくことなんてできなかったんだ。     
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