プロローグ

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 そもそもなぜ、あおいは命を落としてしまったのか? その原因は、20年前に人類の前に姿を現したある生物にあった。  やつらはある日突如として地球に飛来し、何も語らず、ただ無差別に何の罪もない多くの人間を殺害した。水銀状のスライムのような身体を持つやつらは、皮膚や穴という穴から入り込み、人間を内側から食い殺した。また普段は液体状のやつらは、身体を固体化させることもできた。硬化させ、鉄パイプのようになった自身の腕で、やつらは次々と人間を原型を留めないほどぐちゃぐちゃにしていってしまったのだ。  宇宙から飛来した殺戮生物は、その後「ether<エーテル>」という名称が与えられた。人類は、エーテルに対抗するべくやつらに関するあらゆる研究を進めた。だが、やつらのあまりの強さに人類は成すすべもなく、やつらが現れてから数年で、なんと人類は1/5以下にまで減らされてしまったのだった。  このままでは、人類はエーテルに絶滅させられてしまう。生き残った多くの人間が絶望を抱いた。しかしそんな時、ついに人類は唯一エーテルに対抗することができる‘ある力’を発見したのだ。  それは、それまでほとんどの人間がオカルトと称し、忌避してきたはずの「魔術」と呼ばれる代物だった。     
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