第1章

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「もう、私が生きる意味なんてないよね」 私はビルの屋上で柵を乗りこえ縁に立っている 『なぁ、何してるん?』 突然後ろから聞こえてきた関西弁 「えっ」 『えっ。やなくてそんな所になにも考えずに居るなんて考えられへんねんけど』 当たり前のことを言われ私は固まる 『話しにくいからこっち戻ってきてや』 「嫌です!」 さっきまで固まっていた口が再び動き出す 『嫌とか言わんといて。』 名前も知らない彼は何故か私の腕を引っ張り柵側へと連れていく。 「なんなんですか!私が死のうとあなたに関係ないでしょ!」 『いや、こっちは目の前で死なれたら気分悪いし、人が飛び下りたビルで働くのも嫌や。あと、綺麗な人には死んで欲しくない』 最後を除き、彼は怠そうに正論を述べる 「で、でも!私の苦痛を知らないからあなたはそう言えるんです!しかも誰なんですか。知らない人にそんなこと言われる筋合いはありません!」 彼はふふっ笑いながら 『まあ、それも正論やな。でも、俺が名乗ってたら変わってたか?』 そんな事、どうせ死のうとしていたに決まっている 「変わらないですけど.........。」 『やろ?』 彼の笑い方は私を小馬鹿にしているようにしか聞えなくて、腹が立つ。でも引き留めて貰えて嬉しいという気持ちが複雑に混じり合う 「.........。」 『どうしたん。さっきまでの勢いはどうなったん』 「ば、馬鹿にしないでください!死にますよ!」 『それは辞めて!あかん。』 変な人。初対面の私を引き留めるなんて 「でも、なんで私の事を引き止めるんですか?」 彼に疑問をぶつける 『引かんといてな?...俺と同じ痛みを味わって欲しくないねん!』 「ッ!!.........。」 「そんな驚くことか?」 「いや、まっ、ゆ、幽霊ってことですか?」 『うーん。まーそーゆことやな』 「えぇぇぇぇぇ!」 『うっさいなぁ!いちいち、反応でかいねん』 「ご、ごめんなさい」 『まぁ、良いけど。で、やな。なんで君は死のうと思ったんや?』 「それは、この世界に嫌気がさしたから?正直言ってしんどいんです。パワハラ上司は居るわ、婚約者に捨てられるわ、人殺しと間違われるわで大変だったんで、それが終わったので死のうかと」 『そうか...大変やな』 「で、貴方はなんで死んじゃったんですか?」
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