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「アタシのミートボールスパゲッティ……」
とぼそり呟く赤ずきん。
彼女はただいつも通りの横暴ぶりを発揮しただけだったが、怖がっていた客達からすればたちまちヒーローとして拍手喝采ものだった。
というか、ヘボ強盗のことなんて眼中にさえなかったのさ。
拍手が盛り上がっていくと、スタンディングオベーションをする人まで出てきた。
普通こういう場面に自分が立っていたら悪い気はしないだろ?
だがね、この赤ずきんちゃんはそうじゃないんだ。
まだまだ続く拍手の嵐。
赤ずきんはオロオロとどんな顔したらいいのかわからなくなっていた。
目の奥はグルグルと渦を巻いて混乱している。
この時、悪寒をいち早く察知した狼男はざわりとした、背筋を逆撫でするような焦りを感じていたのさ。
(う……。この感じはマズイかも……。)
狼男は赤ずきんの様子を伺いながら、席を立つ。
そんな怖がる必要あるかって?
良い質問だね。こんなにも彼が今の彼女を危惧しているのは理由があるんだ。
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