Ano:ep1 母の形見が届くまで

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 赤ずきんはちょいとばかし面倒な性格をしていてね。 派手な事は大好きなんだが、人から注目される事を嫌うんだ。  簡単に言ってしまえば、「ひねくれている」のさ。  もっと言ってしまえば、天邪鬼だとも言えるかもしれないね。 でも本当に面倒なのはここじゃないんだな。  もし彼女が大勢の人の前にさらされることがあれば、彼女はパニックになる―――ってとこなんだよ。  その大勢が顔見知り以上の奴ならまだマシさ。 知らねえ奴ばっかに囲まれたらどうだ? 途端にパニック起こしてどうなるかわからなくなっちまう。  そのことを狼男はわかっていた。だから内心慌ててやがるのさ。    パニックになった赤ずきんが拳銃を強盗に向けたその瞬間。狼男の焦燥は最上跳ね上がった。  汗が逆流する。喉奥が萎縮する。  自分達が表舞台に出ること―――。  それはなんとしても避けなければならないリスクだった。  狼男が目一杯腕を伸ばしたその時。 得体の知らぬ白煙が一瞬にして彼を襲ったのさ。
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