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赤ずきんはちょいとばかし面倒な性格をしていてね。
派手な事は大好きなんだが、人から注目される事を嫌うんだ。
簡単に言ってしまえば、「ひねくれている」のさ。
もっと言ってしまえば、天邪鬼だとも言えるかもしれないね。
でも本当に面倒なのはここじゃないんだな。
もし彼女が大勢の人の前にさらされることがあれば、彼女はパニックになる―――ってとこなんだよ。
その大勢が顔見知り以上の奴ならまだマシさ。
知らねえ奴ばっかに囲まれたらどうだ?
途端にパニック起こしてどうなるかわからなくなっちまう。
そのことを狼男はわかっていた。だから内心慌ててやがるのさ。
パニックになった赤ずきんが拳銃を強盗に向けたその瞬間。狼男の焦燥は最上跳ね上がった。
汗が逆流する。喉奥が萎縮する。
自分達が表舞台に出ること―――。
それはなんとしても避けなければならないリスクだった。
狼男が目一杯腕を伸ばしたその時。
得体の知らぬ白煙が一瞬にして彼を襲ったのさ。
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