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このことが教官の怒りを更に燃え上がらせた。
結局二人が教官室を出たのは日付が変わった時刻だった。
赤ずきんは部屋に帰ってから狼男にしかられたらしい。
ははッ、知ったこっちゃないってか?
そこは笑っておくもんだぜ?
彼女らが教官室を出ていった後、またドアをノックする音が部屋に響いた。
教官が返事をする前にドアは勝手に開いたんだ。
「おい、お前は礼儀ってもんを……!」
教官はまた赤ずきん達が戻ってきたのだと思い込んでいた。
だけどね、そうじゃなかったんだ。
「お久しぶりですね、教官」
発芽した種のようにぴょこんと出たくせ毛。
こびりついたオイルや無数の傷がついた重そうなエプロン。
腰にぶら下げた年季の入った道具の数々。
誰だかわかったかい?
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