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「……これは私が開けて良いものなのでしょうか」
教官は俯いてしんみりとした口調でジャックに聞いたのさ。怒鳴り声とは真反対の声でね。
「その質問には答えられないなぁ。それは君自身の許しの問題じゃないのかい?」
ジャックは投げかけるように答えた。
「……」
教官はまたしばらく黙り込み、ついに小包を開いた。
「この拳銃は……破壊してしまうのですか?」
と拳銃に目線をむけたまま話す。
「壊しはしない、よ」
少し濁すかのような返答に教官は疑問に思った。
「というと?」教官は質問する。
「僕は赤ずきんちゃんに渡そうと思うんだ」
ほんの一瞬、教官は驚きに目を見開き言葉を失った。しかし不意に目線をまた落とし、感情を隠そうとしたのさ。
「……あの子にはまだ早いのでは?」
「そうかもね。でも約束したことなんだ。きっとそれは―――今しかない」
「今……ですか」
少し考えるようにして教官は言った。
教官はまだ組織に来たばかりの赤ずきんにはまだ早いのではないかと教え子を思いやる気持ちが彼の潔く頷けない、突っかかりになっていたからさ。
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