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【誕生日の夜】
「「ハッピーバースデー!クリスティ!」」
二人の姉が私の誕生日を祝福する夜の屋敷。この日だけは静かな大広間も煌びやかな装飾で一気に明るくなる。勢い良くはじけたクラッカーがキラキラ輝いている。私の頭に少しついたクラッカーの中の色紙が何だか嬉しかった。
姉達から誕生日プレゼントはとても豪華だった。一番上の姉のソフィアからのプレゼントは黄色い水玉の包み紙に大きくて真っ赤なリボンが上に乗っている。一方で二番目の姉、セラフィのものは平たい長方形で青の包み紙。ハッピーバースデーの手書きの文字の周りにキラキラのラメにリボンとウサギのシール。絵を描くのが好きなセラフィらしいプレゼントだった。
純粋に嬉しくてたまらなかった。姉達とは仲が良かったし、そんな二人から私のために贈ってくれたもの。心がホクホク、暖かかった。ソフィアのプレゼントリボンをほどこうと手をかける。すると後ろから誰かがやってくる気配がした。
「クリスティ。お誕生日おめでとう」
後ろを振り返ると、出来立ての誕生日ケーキを持った母がそこにいた。私の大好きなイチゴいっぱいのケーキに目一杯瞳を光らせた。
「わぁ!美味しそう!!」
母は「今日のケーキは特別美味しいわよ?」といたずらっぽくクスリと笑う。そしてケーキに小さなロウソクを周りの装飾に気を付けながら立てると、マッチで火をつけて大広間の電気を静かに落とす。
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