Ano:ep1 母の形見が届くまで

2/15
21人が本棚に入れています
本棚に追加
/50ページ
「てかさぁ、狼ィ」 「んだよ」  退屈そうな顔をしてテーブルに顎を乗せる赤ずきんと、メンズ向けファッション雑誌に釘付けの狼男。  ページをめくる度、ちょっかいを出してくる彼女にイラッとしながら質問を聞いてやる。何だかんだ言って優しいのがこのウルフさ。 「何でこの店人気なのぉ?」  とコテンと耳をテーブルにくっつけ、変な角度で狼男を見上げた。 「あぁ、言ってなかったっけ?」  相変わらず雑誌に夢中の狼男だったが、コーヒーを一口飲むと、その理由を話した。 「ここの店はさ、店主が有名な元DJでさ。店の名前もそっから来てるんだよ。ファンから始まって徐々に広まったって感じかな。」 「ふぅ~ん。味の方はどうなの?」  とかったるそうな赤ずきん。 「あぁ、プロ顔負けとか書いてあったなぁ。ほらここに書いてる」  と狼男はパラパラと前のページに戻ると、これだよと特集の記事を指差した。
/50ページ

最初のコメントを投稿しよう!