4.領主ひとすじの狼が媚薬モブレされる話

4/39
21人が本棚に入れています
本棚に追加
/39ページ
 落ちはしたけれど、ルフはうまく滑り転がった。元々とても体が頑丈にできている。ぶつけた痛みを押してはね起きて、ルフは復讐心を胸に猛然と駆け出した。やり返さねば気が済まない。そういう気持ちで、山の上の城に戻ろうとしたのだが、いくらも行かないうちに雲行きが怪しくなってきた。  軽快に駆けていた足取りが徐々に遅くなり、駆けるから歩くに変わり、やがて止まった。心臓がバクバクと激しく鳴って、呼吸が乱れて、うまく走れなくなってしまったのだ。よろけて、壁に手をついて、ルフははたと気がついた。これはおかしい。クソババアになにかされた。
/39ページ

最初のコメントを投稿しよう!