21人が本棚に入れています
本棚に追加
/39ページ
思い返そうと無意識に髪をかきあげた手が濡れて、ルフははっとした。ぷんと香る甘ったるいにおいには覚えがある。ひどい悪戯に、歯噛みしてうなるが、老婆は近くにいない。いれば噛み付いてやったのに。
これは、媚薬というやつだ。
そうして冒頭に戻り、ルフは悲鳴をあげたのだった。これのやっかいさは身をもって知っている。だがあのときはよかった。その場にいたのはルフと、彼の領主だったからだ。なんの問題もない、どころか、いい思いをした。
最初のコメントを投稿しよう!