4.領主ひとすじの狼が媚薬モブレされる話

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 思い返そうと無意識に髪をかきあげた手が濡れて、ルフははっとした。ぷんと香る甘ったるいにおいには覚えがある。ひどい悪戯に、歯噛みしてうなるが、老婆は近くにいない。いれば噛み付いてやったのに。  これは、媚薬というやつだ。  そうして冒頭に戻り、ルフは悲鳴をあげたのだった。これのやっかいさは身をもって知っている。だがあのときはよかった。その場にいたのはルフと、彼の領主だったからだ。なんの問題もない、どころか、いい思いをした。
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