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なにしろ、この薬はすごい。
「ハア、ハア、ハア……」
首から頬にかけてが燃えるように熱かった。目はうるみ、頭はぼーっとする。腰が重たくなって、発情期に入った生き物のように、ひとつのことしか考えられなくなってくる。ヤりたい。
かすむ目がつらくてまばたきすると、コロッと目尻から生理的な涙がこぼれた。それを指で雑にぬぐって、ルフは、
「女がこっちに来ませんように」
と切実に祖霊に祈り、壁を擦るようにして前に進んだ。その気のない女を襲うなんて唾棄すべき行いだ。……と、きっと彼の領主なら言う。最悪なことに、ルフはいま自由の身で、力が強く、理性がほとんどない。ないことが自分で分かっていた。
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