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祈りは通じた。祖霊の加護のおかげで、ルフの前に女は一人も通りがからなかった。
道が細くて、うら寂れていたのがかえってよかったのかもしれない。か弱い女なら避けて通るような通りだった。おまけに今日は天気が悪い。きっと住民たちはどんよりと重い空を見て、早めに家に籠る準備をしているのだ。
ルフの祈りは通じて女は通らなかったが、祖霊の力もそこまでだった。壁についた手がすべって、ルフはずるずると地面に膝をついた。
自分の体重を支えられずにそのまま崩れ落ちる。ぺた、と頬を固い地面につけると、熱が吸い取られて気持ちいい。だが体は、少しも楽になっていかない。ルフは胸をかきむしった。
この手を下に伸ばして自分のものをなぐさめたら、きっと死ぬほど気持ちいい。絞り出すように「みられたくない」と言った領主の言葉が頭をよぎる。見られないならいいだろう、とさらに誰かがささやいた。どうせ誰もいない。すぐに終わる。だってこんなに興奮している、ちょっとさわるだけで快感を吐き出せる。いや終わらないはずだ。一回では終わらない。はじまったら最後、精根尽き果てるまでどうにもならないのは前回のことで分かっているはずだ……。
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