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夜が白み始めた頃に、人の気配がして目が覚めた。
「佐さま」
姫付きの女房だろう。
「なんだ」
「佐さまの朝餉の用意をいたしました。姫さまは」
「粥を全部お食べになったよ。今朝も食べられるのではないかな」
昨夜の粥の入っていた器を御簾の際に押し出し、連れてきていた随身を呼んで枇杷殿に束帯と肌着を取りに行かせた。
しばらくすると、仲平用の膳が用意された。
姫も目を覚まして、顔を向けた。
「うーむ!大納言家ではうまい食事を食べているんだね。これをお食べにならないとは、もったいない」
姫は少し食べたそうな顔をしているように思えた。
「姫君の粥です」
粥が運ばれてきた。
「またこの右衛門の佐が食べさせて進ぜようか?」
姫は明らかに頷いた。
姫の小さな体は軽く、やっぱり華奢だった。
ふうふうと息を吹きかけて、重湯を飲ませてやると、夕べよりもよく飲む。米をすくってやれば今度はむせずに飲み込んだ。
医師が、姫が食べられるようになったらゆっくりと量を増やすようにと言った、と誰かが仲平に言った。「あいわかった」と仲平は生返事をした。
「白湯も飲みますか?」
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