第2章 クリスマス前前前夜

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第2章 クリスマス前前前夜

はやり、季節物の本の棚はなかなかペースが早い。クリスマスもまだだというのに、正月やおせちの本が並ぶ。サンタの名言集やクリスマスツリーの作り方等華やかな本がひしめきあっている。 そんな中でダーティなタイトルの本が売れ残っている。『 クリスマス、1人のあなたへ』というタイトルの本だ。先週見つけた時はあ、私だ!と思った。でも、キョロキョロと周りを見ると、何人かいる。あ、あの子クリスマス一人なんだって思われるのが怖くて躊躇していた。でも、今日は人が少ない。少し背伸びをして素早くその本を手に取った。クリスマスに1人の時にどうすればいいか。今から間に合う恋人の作り方。優しい言葉1つ1つが逆に傷つく。ペラペラとめくると、1枚のカードのようなものが落ちてきた。厚紙を雑に切ったようなカードだった。 そこには「ぬふふぅふわ5G36」と書かれている。ふわは可愛くていい。5G36も確実に何かの暗号なのでまぁいい。ぬふふぅの文字に心がいい気がしない。ただ、この暗号を解読したくなってきた。暗号でないはずがない。ただ、このカードを持って帰ると万引きなのかどうかの分別がつかず、恥も承知で好きな本の2冊の中にその本を入れた。もちろん、カードはその中にある。知らないふりをするつもりだ。幸い、レジが若い男の子で良かった。同性だと何を思われるか。 家に帰って早速本を開いた。といきたいところだが、いの1番にカードを探した。あったあった、今落ち着いてみても、よく分からない。もふもふのペットの暗号かなぁと思った。処分されてしまうという話はよく聞く。それか、行方不明のペットかも知れない。5時36分にもふもふのペットが逃げ出したのか?とりあえず、パソコンで迷い犬猫のサイトを片っ端から見た。特にいなくなった時間。ただ、17時32分や5時40分等と近いものはあったが、それとは違う。 さすがに疲れたので、帰り際に買ってきた抹茶ラテを冷蔵庫から取り出した。仕事よりも真剣にパソコンに向かった時間であった。知らずの内に猫背になっていた背中を伸ばし、画面に映る犬猫を見ていた。キーボードに目をやると、ふとした数字が浮かんでくる。
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