1人が本棚に入れています
本棚に追加
第4章 君のことRG
不意に、後ろから声を掛けられた。
「しおり...さん?」
「あっ…本屋さんの。偶然だね…」
「はい、暗号解けたんですね」その言葉に私は驚きと小さな恐怖を覚えた。
「君だったの?えっと…名前は...」
「古川剛です」
「つよし...くん?」
「はい」
「どうして、あんなことを?あと、誰でもよかったの?私で良かったの?」
「はい、最近当店によく来られてますよね。その度に嬉しかったんです。あなたが店に来る度に、あなたのレジをする度に」恐怖は少しずつ喜びに変わろうとしている。
「でも、偶然私が取ったから良かったものの、他の人だったらどうしてたの?」
「いや、先週に鈴木さんがその本を手に取ろうかと悩んでたのを偶然見てて、それで」そんなところを見られていたなんて、顔から火が出そうだった。でも、ちゃんと私宛で嬉しかった。
「よくするね、そんなこと」
「馬鹿ですよね、ははは」と笑っている。
「いえ...」上手く次の言葉が出ない。
「はい、しおり、好きなんで」
「え、なんて?」
「ぼく、しおりさんの事が好きです。だから、本のしおりにしたんです。あの1冊の本は僕からのメッセージ。しおりの本なんです。あなたに向けた」
「年下のくせに生意気ね」しおりは笑った。
「えへへ。ディナー予約してあるんですよ。行きませんか?クリスマス、僕と2人で」
「いいわよ、ねぇ、つよしくん?」
「なんですかー?」
「君のことRG」
「え、どうゆうことですか?」
「ううん、なんでもない」
しおりはこの時のドキドキを今でも覚えている。
最初のコメントを投稿しよう!