【2】発見

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 母さんと陸を眺めた次の日、私はいつもと変わらない目覚めを迎えた。  私たちは脳を半分づつ眠らせるから、常に体の半分は起きている。しかし、一日の始まりに太陽の光を浴びた時、私は本当の目覚めを実感するのだ。  隣には母さんがいる。子供のうちは、こうして親が隣に並んで眠る。親は子供の様子を片目で見守り、危険が迫っていないかを確かめるのだ。  私がおはようと言うと、母さんもそのままの言葉を返す。いつもはこのあと、群れのみんなで魚を取りに行く。だが、今日は母さんの様子がいつもと違った。 「よく聞いて。大事なことだから」  言われなくても、私はいつも、ちゃんと聞いていると思うのだが。 「明日、『名付け』に行くよ」  それは、普通のものにとっては嬉しい知らせだった。  そして、どうやら私は普通ではなかったようだ。
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