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気がつくと、太陽が大分傾いていた。空は薄暗くなり、水温も下がっている。
もうこのまま、明日になってしまえ。私がこれ以上おかしくなる前に「名付け」が終わればいい。
特別なことは何も無いと、リラも言っていたでは無いか。母さんについていき、ヌシサマに会って名前をいただく。意味も理由も無い。知らなくて良い。
そうと決まれば早く帰ろう。闇雲に泳いでいるうちに、かなり群れから離れてしまった。太陽はどんどん沈んでいく。夜の海は危険だ。暗闇の中で迷い、サメに襲われた子供もいると聞く。
息を吸ったら、一気に帰らなくては。私は水面に向かう。
頭を出して、大きく息を吸おうと思ったその時……
こつんと、何かが私にぶつかった。
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