【1】私

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 それからどうやっても、リラは「名付け」について語ろうとしなかった。私の問いは全て、曖昧な言葉か静かな笑みで返された。  四回目の問いを無言で返された時、私はついに実力行使に出た。  リラの真下に一気に潜る。そこから思い切り浮上し、彼女の腹部に体当たりした。もちろん遊び感覚の軽いものだ。  リラは私の攻撃に戸惑ったようだ。きょとんと私を見つめている。こっちの質問に答えないのが悪い。得意になっていたら、リラの尾が飛んできた。  明らかに私よりも力が強い。リラの顔を見ると、先程と変わらない笑みを浮かべている。      それならと、私は突進した。リラは避け、私の背後に回る。私は一気に加速した。リラも追ってくる。普段は大人しい癖に、やたらと速い。  追いつかれる直前、真下に潜行する。一瞬リラが止まった。勢いをつけたまま、再び突進する。狙いは腹。やった、と思ったその時、リラの尾が振り下ろされた。  慌てて体を捻る。なんとか直撃は避けられたが、このままでは分が悪い。一旦離れよう。リラも来る。私たちはそのまま、大して意味のない追いかけっこを続けた。    勘違いしないで欲しいのだが、私たちは喧嘩をしているわけではない。これは遊びだ。少なくとも私はそう思っている。リラはどうかはわからないが。
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