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現代、お店には年代層というものがある。若い人向け、老人向けなどある程度客層を絞って店を開く。
街の外れ、森の近くには花屋がある。綺麗な花が入口に飾られている。行列ができる訳では無いが客足は絶えない。
ほら、今日も…
「おーい、坊主。邪魔するぜー」
店に入りながらそう声を発したのは着流しに身を包み、煙管を持った男。だが、頭に角が生えている。鬼のような姿をした男に坊主と言われた男はこう返した。
「お、鬼さん!僕は坊主ではなく晴明です。用もないのにここに来ないでください!」
「んなつれねぇこと言うなよ。なぁ、坊主。俺とお前の仲だろ?昔みたいに酒でも組みかわそうぜ?」
手で帰れとジェスチャーをする男、晴明に断られたのにも関わらず、鬼は飄々と返事をする。これに対し晴明は、
「確かに!確かに僕の前世は安倍晴明ですが!平安の頃は皆さんと大暴れしまくりましたが!今世は穏やかに人生を過ごしたい好青年!それに、妖怪アレルギーを発症しているんです!ほら、もう蕁麻疹まで出てきてしまったではないですか!」
そう言いながら腕を鬼に見せる晴明。さらに、
「僕は、貴方たちのために花屋を開いたんじゃない!善良な人間に来て欲しくて開いたんです!」
ここは、花屋。妖怪が集まる花屋。晴明の望み通りの客が来ることはあるのだろうか…
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