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「……今日は突然来て悪かったな」
隣を歩く先輩から、寂しげな小さな声が聞こえて視線を上げた。
「え?いえ別に……ソレは気にしないで。
……こっちこそ親が期待させたみたいで…ゴメン」
「あ~……それはまぁ……うん、仕方ないよ……」
やっぱり気不味い……
"勢いと流れ"じゃなくって本気でしたか・・・
上着のポケットに両手を突っ込み、寒さから身体を縮め俯いて歩いてる先輩が今、どんな顔をしてるのかわからない。
力無く「ははっ……」と苦笑する先輩の小さな声があまりにもらしくなくて、昔受けた仕打ちも先輩への嫌悪も消えてしまった。
逆に慰めたくなったけど、こんな時、当事者の私が掛ける、正解の言葉が思い付かない。
たくさんの知識を詰め込んできたはずなのに、なんてポンコツなんだ。
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