168人が本棚に入れています
本棚に追加
「・・・お前もずいぶん変わったなぁ」
「・・・そりゃどーも」
「・・・なんだ、その返しは」
少しの沈黙の後徐に話し出した先輩は、笑いを含んだ優しい声と方眉上げた流し目が無駄に大人の色気を垂れ流してる。
・・・伊達に歳を経た訳じゃないって事ですか……パワーアップしやがって……
「・・・お前さぁ、たまには実家帰ってやれよ、そんなに遠くないんだからさぁ」
「遠いよ。それにめんどくさい」
「そ~か?車で1時間ぐらい、わけねぇじゃん」
「私、免許持ってないもの」
「ははっ。そーか。
それでもさ、慎一も親父さんも寂しがってンだからさ。お前もガキみてぇに反抗ばっかしてないで、たまには顔見せに帰ってやれや」
「ハイハイ。気が向いたらね」
「ククッ。素直じゃないねぇ」
「私ほど素直な奴は、他にいないと思うけど?」
「おぉぉぉ?お前も言うようになったなぁ」
「そりゃあ~あれから10年経ちましたからねぇ」
「・・・なんか、めちゃくちゃ歳を食った気分・・・」
「あはは。オッサンになりましたねぇ、先輩」
「俺がオッサンなら、お前もオバサンだな」
「・・・デスネェ」
最初こそお互いに気不味かったが次第にそれもなくなり、コインパーキングに着いた頃には蟠りもなく普通に会話をしていた。
最初のコメントを投稿しよう!