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私の職場方面に走る車内。
「なぁ……琥太郎ってどんなヤツ?」
「ん?どんなヤツって……ウサギ」
「・・・は?何、ウサギって?」
ナニよ、その半端無くうんざりした顔。
成人男性に"ウサギ"なんて、失礼だってわかってるよ。
でもさ、あそこまで恋愛にのめり込めるってスゴいと思うのよ。私には出来ないことだから。そこがいじらしくて可愛いんだもん。
「・・・ウサギは寂しいと死んじゃう。って言うじゃん。
寂しがり屋でほっとけないから、つい構っちゃうってさ。ソレだよ」
「お前ナニ言ってんだ?ウサギって実は……まぁいいか……」
呆れ顔で言いかけた言葉を、途中で引っ込め溜め息をついた。
「……コタはね、物凄く一途で健気。何があっても裏切らないのよ。
もうね、母性本能を擽られて守ってあげたくなるのよねぇ」
寂しがり屋ってのは黙っておこう……
「・・・守ってあげたくなるって・・・男としてどーかと思うけどな。
……でも……お前は今、アイツに愛されて幸せってことか……良かったな」
「へ?・・・あ、うん」
一瞬、何の事を言ってるのかわからなかったけど、少しだけ寂しそうに笑った顔を見て、ギリギリ結婚(偽装だけど)した事を思い出した。
確かにコタに愛されるお相手は幸せだと思うよ。対象は男の人だけど。
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