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わかんない。理解できない。
だって、たかが恋愛じゃん。紙切れ一枚の結婚じゃん。
私なんかに、そこまでする価値はないのに……
「俺を意識して欲しかったから先にプロポーズしたんだけど……遅かったなぁ~……
一生独身なんて言っておきながらちゃっかり結婚してんだもんな、お前は……」
フッと緩く微笑んで、でも陽葵が幸せならいっか。なんて言わないでよ。自分が嫌になる。
「……んだよ。責めてる訳じゃないンだから、そんな顔するなよ」
口元を緩め困ったように目を細めた先輩が、ポンポンと頭を撫でてくれる。
「今更だけど、あの時はゴメン。お前が折角来てくれたのにな。すげぇ反省した。
いくら浮気はしてないって弁解しても、あの状況じゃあ疑われてもしかたないってわかるけど……本当に悪かった」
「……私こそ、話し合うこともしないで……逃げてゴメン……」
実はお兄からあの日の事を聞かされていた。
何があったかは知っていたけど、子供だった私は、それに嫌悪感を拭えずに避けた。
ちゃんと話してけじめをつけてたら、先輩がここまで気持ちを引きずる事は無かったと思う。
本当にごめんなさい。
「でだな、話を戻すけど。この近所にアパート借りてたんだよ」
ん?
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