俺様バカとウサギ男

19/20
前へ
/83ページ
次へ
わかんない。理解できない。 だって、たかが恋愛じゃん。紙切れ一枚の結婚じゃん。 私なんかに、そこまでする価値はないのに…… 「俺を意識して欲しかったから先にプロポーズしたんだけど……遅かったなぁ~…… 一生独身なんて言っておきながらちゃっかり結婚してんだもんな、お前は……」 フッと緩く微笑んで、でも陽葵が幸せならいっか。なんて言わないでよ。自分が嫌になる。 「……んだよ。責めてる訳じゃないンだから、そんな顔するなよ」 口元を緩め困ったように目を細めた先輩が、ポンポンと頭を撫でてくれる。 「今更だけど、あの時はゴメン。お前が折角来てくれたのにな。すげぇ反省した。 いくら浮気はしてないって弁解しても、あの状況じゃあ疑われてもしかたないってわかるけど……本当に悪かった」 「……私こそ、話し合うこともしないで……逃げてゴメン……」 実はお兄からあの日の事を聞かされていた。 何があったかは知っていたけど、子供だった私は、それに嫌悪感を拭えずに避けた。 ちゃんと話してけじめをつけてたら、先輩がここまで気持ちを引きずる事は無かったと思う。 本当にごめんなさい。 「でだな、話を戻すけど。この近所にアパート借りてたんだよ」 ん?
/83ページ

最初のコメントを投稿しよう!

168人が本棚に入れています
本棚に追加