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「ついて来い。」
ディランにそう言われ、リディアは従った。彼は城の中に入り、人気のない廊下まで行くと、振り向いて鋭い声を上げた。
「何故、またここに来た。白い森は危険だと言っただろう?俺があそこで止めなければどうなっていたと思う?死にたいのか!」
「ご、ごめんなさい…。私…、」
涙目になって謝るリディアにディランははっとした顔をして、
「いや。悪い…。俺も少し感情的に怒鳴りすぎた。…何か理由があったのだろう?」
とにかく、ここは危険だからと彼は自室にリディアを匿った。
「それで?今日もまた我儘な妹のお使いか?」
「あ、ううん。違うの。今回は母と妹を捜しに来て…、」
事の経緯を話し、リディアは
「だから、もしかしたら、ディランなら母と妹の行方を知っているんじゃないかなって…、ディラン?」
リディアはディランが表情を固くしたのに気が付いた。
「…悪いが俺には心当たりがない。」
「嘘!それなら、どうして私の目を逸らしたの?ねえ、何か知っているのでしょう?お願い。どんな事でもいいから教えて。」
「俺からは何も言えない。リディア。ここにいたら、危険だ。お前はすぐにここから出ていけ。継母と妹の事はもう忘れるんだ。…自分の命が惜しいならな。」
「ディラン。あなたが何を言っているのか分からない。どういう意味なの?」
「知らない方がいい。世の中には知らない方が幸せな場合もあるのだから。」
「いいえ。私は知りたいの。だから、ここに来ているのよ。ディラン。知っているなら、私に教えて。」
「知ったら、後悔する。この森の正体も、俺たち一族の秘密も全てを話さないとならない。」
「一体、何なの?秘密って…、私は知りたい。あなたのことも。この森の事も。ここで一体、何が起こっているのか。」
ディランは迷った末、口を開いた。
「話せば長くなるが…、俺たち一族は古より存在する魔女の血筋の末裔だ。我々一族は魔法を自由自在に操ることができる。」
そう言い、ディランは手の中から炎を生み出し、風や水を繰り出した。
「魔法…。そんな、そんな事が…、」
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